結婚式スピーチの作り方

友人代表スピーチや主賓挨拶を頼まれたら、うれしい反面「何を話せばいいのか」と不安になるものです。 実は結婚式のスピーチには決まった「型」があり、型に沿って準備すれば、誰でも心に残るスピーチができます。 本ガイドでは、構成の作り方から文字数の目安、忌み言葉、当日の話し方までを解説します。

スピーチの長さと文字数の目安

結婚式のスピーチは3分前後が最適とされています。主賓挨拶でも5分以内に収めるのが礼儀です。 日本語のスピーチは1分あたり約300文字が聞き取りやすい速さなので、 原稿の文字数の目安は次のようになります。

スピーチの長さ文字数の目安主な場面
2分約600文字乾杯挨拶+ひとことスピーチ
3分約900文字友人代表スピーチの標準
5分約1,500文字主賓挨拶の上限

原稿ができたら、実際に声に出して時間を計ってみましょう。 文字数から所要時間を逆算したいときは、双方向で計算できるツールが便利です。

基本の5部構成

迷ったらこの5部構成に当てはめれば、過不足のないスピーチになります。

  1. お祝いの言葉:「◯◯さん、◯◯さん、ならびにご両家の皆さま、本日は誠におめでとうございます」
  2. 自己紹介:「ただいまご紹介にあずかりました、新婦の高校時代からの友人の◯◯と申します」——新郎新婦との関係を簡潔に。
  3. エピソード:スピーチの中心。新郎新婦の人柄が伝わる具体的なエピソードを1つ、多くても2つに絞ります。
  4. はなむけの言葉:エピソードを受けて、新生活へのエールや助言を贈ります。
  5. 結びの言葉:「お二人の末永いお幸せをお祈りして、私のご挨拶とさせていただきます」

冒頭の「本日はお招きいただきありがとうございます」のあとに、 「どうぞご着席ください」とゲストに着席を促すのを忘れずに(主賓・乾杯前のスピーチの場合)。

エピソードの選び方

よいエピソードの条件は「その人らしさが伝わる」「具体的である」「会場の全員が聞いて温かい気持ちになる」の3つです。

「あのとき◯◯と言ってくれた」のようにセリフや情景を入れると、ぐっと具体的になります。 笑いを取ることよりも、新郎新婦の人柄が伝わることを優先しましょう。

忌み言葉・重ね言葉の一覧と言い換え

結婚式では、別離を連想させる「忌み言葉」と、再婚を連想させる「重ね言葉」を避けるのが伝統的なマナーです。

種類言い換え例
別離を連想別れる・切れる・離れる・終わる・破れる・冷める「ケーキを切る」→「ケーキにナイフを入れる」/「お開き」を使う
不幸を連想死ぬ・病む・忙しい(「亡」を含む)・九・四「忙しい中」→「ご多用の中」
重ね言葉重ね重ね・たびたび・くれぐれも・再び・戻る「くれぐれも」→「どうぞ」/「再び」→「改めて」

すべてを完璧に排除する必要はありませんが、原稿を書き終えたら一度チェックして、 言い換えられるものは言い換えておくと安心です。

当日の話し方・立ち居振る舞い

なお、スピーチを頼まれた場合もご祝儀は通常どおり包みます。 金額の目安はご祝儀の相場診断で、 袋の書き方はご祝儀のマナー完全マニュアルでご確認ください。

場面別・スピーチ文例

構成に沿って書くとどうなるか、実際の文例で確認しましょう。 そのまま使うのではなく、エピソードの部分をご自身の体験に差し替えてご利用ください。

友人代表スピーチ(約3分・900文字想定)

「ただいまご紹介にあずかりました、新婦◯◯さんの大学時代の友人の△△と申します。 ◯◯さん、□□さん、ならびにご両家の皆さま、本日は誠におめでとうございます。 このような席でご挨拶の機会をいただき、ありがとうございます。」

「◯◯さんとは、大学のサークルで出会って以来10年来の付き合いになります。 彼女を一言で表すなら『人の変化に気づく人』です。(——ここに具体的なエピソードを1つ) 当時の私は自分のことで精一杯で、その一言にどれだけ救われたか、今でも覚えています。」

「□□さん、◯◯さんはそういう人です。きっとこれからも、 あなたの小さな変化に誰よりも早く気づいてくれると思います。 どうかその優しさを、たまには受け取るだけでなく、返してあげてください。」

「末永くお二人が笑顔で過ごされることを心よりお祈りして、私のご挨拶とさせていただきます。 本日は誠におめでとうございます。」

乾杯の挨拶(約1分・300文字想定)

「ただいまご紹介いただきました△△です。僭越ながら乾杯の音頭を取らせていただきます。 ◯◯さん、□□さん、本日は誠におめでとうございます。 お二人の門出を、こうして皆さまとご一緒にお祝いできることを大変うれしく思います。 それでは皆さま、グラスをお持ちください。お二人の末永いお幸せと、 ご両家のますますのご繁栄を祈念いたしまして——乾杯!」

乾杯の挨拶は短いほどよいとされます。 料理が運ばれるタイミングでもあるため、1分以内に収めましょう。 長いエピソードは不要で、「おめでとう」と「乾杯」があれば成立します。

主賓挨拶(約4分・1,200文字想定)の構成

職場の上司などが行う主賓挨拶は、友人スピーチと構成が異なります。

  1. お祝いの言葉と、ゲストへの着席の促し(「どうぞご着席ください」)
  2. 自己紹介と、新郎新婦との仕事上の関係
  3. 仕事ぶりの具体的な評価——ご両家・ご親族に「良い職場にいる」と伝わる内容を
  4. 結婚生活への助言(説教にならないよう、自身の経験として語る)
  5. 結びの言葉

主賓挨拶で意識したいのは、聞き手にご両親・ご親族が含まれるという点です。 内輪の笑いより、「この人は職場で信頼されている」ということが伝わる内容が喜ばれます。

前日までの準備と練習法

原稿ができたら、当日までに次の準備をしておくと安心です。

  1. 声に出して時間を計る(3回以上)
    黙読と音読では所要時間が大きく変わります。実際に立って、本番の速さで読んでください。 1回目より3回目のほうが速くなるのが普通なので、3回目の記録を採用します。
  2. 読みにくい箇所を書き換える
    音読でつっかえた部分は、文が長すぎるか漢語が多い箇所です。 一文を40字程度に区切り、話し言葉に直します。
  3. 固有名詞の読みを確認する
    新郎新婦の名字の読み方、勤務先名、出身校名など。新婦の名字は当日から変わる場合があるため、どちらで呼ぶか決めておきます。
  4. カンペを用意する
    全文ではなく見出しだけを書いたメモのほうが実用的です。 全文だと目で文字を追ってしまい、顔が上がりません。 白または淡い色の紙に、大きめの字で。スマートフォンの画面を見るのは略式に見えるため避けます。
  5. 誰かに聞いてもらう
    家族や友人に一度聞いてもらうと、内輪ネタになっていないか、 意味の通じない略語がないかを客観的に判断できます。

当日は、開宴前に司会者へ挨拶しておくと、呼ばれるタイミングがわかって落ち着けます。 また、乾杯前にスピーチをする場合は、料理に手をつけずに待つのがマナーです。

よくある質問

結婚式のスピーチは何分くらいが適切ですか?

友人代表スピーチは3分前後、主賓挨拶は3〜5分が目安です。5分を超えると長いと感じられやすく、進行にも影響します。話す速さの目安は1分あたり約300文字なので、3分なら900文字程度の原稿を用意しましょう。

スピーチの原稿を見ながら話してもよいですか?

問題ありません。「お祝いの気持ちをきちんとお伝えしたいので、メモを見ながら失礼します」と一言添えれば、むしろ誠実な印象になります。ただし終始下を向いて読み上げるのではなく、要所で顔を上げて新郎新婦や会場に視線を向けましょう。

忌み言葉はどこまで気にするべきですか?

「別れる」「切れる」「終わる」など別離を連想させる言葉と、「重ね重ね」「たびたび」など再婚を連想させる重ね言葉は、年配のゲストほど気にする傾向があるため、原稿の段階で言い換えておくのが無難です。「ケーキを切る」は「ケーキにナイフを入れる」のように言い換えられます。

本記事は一般的なマナーに基づく解説です。式のスタイルや地域の慣習によって、望ましい形式は異なる場合があります。