のし袋・水引の種類と使い分け

ご祝儀袋や香典袋を選ぶとき、「結び切り」と「蝶結び」のどちらを選べばよいか迷ったことはありませんか。 水引の結び方や色には一つひとつ意味があり、場面を取り違えると意図せず失礼になってしまうこともあります。 本ガイドでは、のし袋・不祝儀袋と水引の基礎知識を、慶事・弔事の両面から整理して解説します。

のし袋・不祝儀袋とは

金銭を包んで贈る際に使う袋を、慶事では「のし袋(祝儀袋)」、弔事では「不祝儀袋」と呼びます。 「のし(熨斗)」とは、右上についている飾りのことで、もとは縁起物のあわびを干した「のしあわび」に由来する慶事専用の飾りです。そのため、弔事の袋にはのしをつけません。

あわびは古くから長寿をもたらす縁起物とされ、薄く削いで干したものを贈り物に添える習慣がありました。 現在は簡略化され、紙を折って象った飾りや、袋に印刷された図柄になっています。 弔事の袋を「のし袋」と呼ばず「不祝儀袋」「掛け紙」と区別するのは、この由来によるものです。 弔事の品物に掛ける紙を「のし紙」と呼ぶのは、厳密には誤りとされています。

水引の結び方3種と意味

水引の結び方には、それぞれ「その出来事が繰り返されてほしいか否か」という意味が込められています。

水引の色と本数

は、慶事が紅白・金銀、弔事が黒白・双銀・黄白(地域による)が基本です。本数は慶事が5本、丁寧にする場合は7本。結婚祝いは「二人が結ばれる」意味で 10本(5本×2)を用いるのが正式です。弔事は5本または双銀が基本です。

袋の格と金額を合わせる

見落とされがちですが、袋の格は包む金額に合わせるのが基本です。 3千円しか入っていないのに豪華な装飾の袋を使うと、開けた相手が戸惑います。 逆に5万円を印刷の簡素な袋で渡すと、軽んじている印象を与えかねません。 金額と袋の格が釣り合っていることが、実は水引の選び方より目につきます。

包む金額適した袋
〜5千円水引が印刷された簡素なもの
1万〜3万円実物の水引がかかった一般的なもの
3万〜5万円やや厚手の和紙、水引が立体的なもの
5万円以上高級和紙・双銀・装飾が豪華なもの

売り場では袋のパッケージに「1万円までのお祝いに」といった目安が書かれていることが多いので、 それを参考にすれば大きく外しません。

慶事用の使い分け

用途結び方水引の色
結婚祝い結び切り/あわじ結び(10本)紅白・金銀
出産祝い蝶結び紅白
入学・長寿祝い蝶結び紅白
快気祝い結び切り(5本)紅白

出産祝いや快気祝い・内祝いの金額の目安は、出産祝いの相場診断内祝い金額計算ツールで確認できます。

弔事用の使い分け

弔事の不祝儀袋は、黒白または双銀の結び切りを用います。のしはつけません。 袋の格は包む金額に合わせ、高額になるほど双銀や高級和紙の格の高い袋を選びます。 表書きは宗派によって異なり、詳しくは香典のマナー完全ガイドで解説しています。

表書きと名前の書き方

袋を選んだら、次は書き方です。筆記具と墨の濃さが慶弔で変わります。

名前は水引の下中央に、表書きよりやや小さめにフルネームで書きます。 表書きより大きく書くと不格好になるため、バランスに注意してください。 連名の場合は次のように書きます。

中袋の書き方と旧字体

中袋(内袋)には、表に金額、裏に住所と氏名を書きます。 受け取った側が誰からいくら受け取ったかを整理するための情報なので、 「表書きに名前を書いたから不要」とはせず、必ず記入してください。 特に弔事では、遺族が香典返しを手配する際に住所が必要になります。

金額は旧字体(大字)で書くのが正式です。 「一」に線を足して「二」に改ざんされることを防ぐという実務的な理由から生まれた慣習です。 頭に「金」をつけ、末尾に「也」をつける形式もありますが、現在は省略しても差し支えありません。

金額旧字体での書き方
3,000円金参仟円
5,000円金伍仟円
10,000円金壱萬円
30,000円金参萬円
50,000円金伍萬円
100,000円金拾萬円

中袋が付属していない袋の場合は、白い封筒で代用するか、 袋の裏面に直接、金額と住所・氏名を書き添えます。 中袋を使わないことをマナー違反とする考え方もありますが、「袋が二重になる=不幸が重なる」として、弔事ではあえて中袋を使わない地域もあります。

上包みの折り方(慶弔で逆)

間違えやすく、しかもひと目でわかってしまうのが、上包み(外側の紙)の折り方です。 水引を外して包み直すタイプの袋では、裏側の重ね方が慶弔で逆になります。

覚え方としては、弔事は「顔を伏せる形」と考えるとわかりやすいでしょう。 市販の袋を購入した状態では正しく折られていることがほとんどですが、 お札を入れる際に開いてしまった場合は、元の折り方に戻せているか確認してください。

表書き一覧

場面表書き
結婚祝い寿/御結婚御祝
出産祝い御出産御祝/御祝
香典(仏式・四十九日前)御霊前
香典(仏式・四十九日後)御仏前
香典(神式)御玉串料
香典(キリスト教式)御花料
内祝い(お返し)内祝

よくある間違い

実際に起こりやすい取り違えを挙げます。いずれも受け取った側が気づきやすい部分です。

よくある質問

結び切りと蝶結びはどう使い分けますか?

「結び切り」はほどけない結び方で、結婚祝いや弔事など「一度きりであってほしいこと」に使います。「蝶結び(花結び)」は何度でも結び直せることから、出産・入学・長寿祝いなど「何度あってもうれしいこと」に使います。この違いを取り違えると失礼になるため注意が必要です。

のし(熨斗)は弔事にもつけますか?

いいえ。「のし(熨斗)」はもともと縁起物のあわびを干したもので、慶事専用の飾りです。弔事の不祝儀袋にはのしをつけません。そのため弔事の袋は正確には「のし袋」ではなく「不祝儀袋」と呼びます。

水引の本数に決まりはありますか?

一般的な慶事は5本、より丁寧にする場合は7本を用います。結婚祝いは「二人が結ばれる」意味を込めて10本(5本×2)が正式です。弔事は5本または双銀が基本です。奇数が基本ですが、結婚の10本は例外的な慣習です。

本記事は一般的な慣習に基づく解説です。地域や家庭によって水引の色・本数や作法が異なる場合があります。